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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

二

「喧嘩か。」

「いいえ、組合の外に新床が出来たんで、どうのこうのって、何でも可いじゃあがあせんか、お客様は御勝手な処へいらっしゃるんだ。一軒殖えりゃそいつが食って行くだけ、皆が一杯ずつお飯の食分が減るように周章てやあがって、時々なんです、いさくさは絶えやせん。」

「それじゃあ口でも利かされたのかね。」

「ならび大名の方なんでさ。」

「それに何も二日かかることはないじゃないか。」

「すっかり御存じだ。」と莞爾する。

「だっておい四度素帰をしたぜ、串戯じゃあない。ほんとうに中洲からお運び遊ばすんじゃあ、間に橋一個、お大抵ではございませんよ。」

「おや、母親がいった通り。」

「貴客、全くそう申すんでございますよ。」と長火鉢の端が見えて、母親の声がする。

二

「ははははは、旨くやりましたね、(ほんとうに中洲からお運び遊ばすんじゃあ間に橋一個、お大抵ではございません。)ッさ、え、旦那、先刻親方が帰りました時に内のお婆さんがその通りいいました。ねえ、親方、どうですお婆さん、寸分違わねえ、同一こッたい、こいつあ面白えや。」と少しかすれた声、顔をしかめながら嬉しそうに笑ったのは、愛吉といって、頬に角のある、鼻の隆い、目の鋭い、眉の迫った、額の狭い、色の浅黒い、さながら悪党の面だけれども、口許ばかりはその仇気なさ、乳首を含ましたら今でもすやすや