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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
十九
ヘッ、おい後生だ、ヘッ、何のこッた。」
愛吉はぐッたりと首を低れて、ふらりとしていたが、
「お待ち下さい、待っておくんなさいまし。ええと、先生、こうです。何だってその、あの毛唐人奴等、勝山のお嬢さん、今じゃあ柳屋の姉さんだ、それでも柳橋葭町あたりで、今の田圃の源之助だの、前の田之助に肖ているのさえ、何の不足があるか、お夏さんが通るのを見ると、大騒動をやりますぜ。柳屋のお夏さんとはいわないで、お夏さんの柳屋、お夏さんの柳屋ッて、花がるたを買いに来まさ。何だ畜生、上野の下あたりに潜ってやあがって、歌読も凄まじい、糸瓜とも思うんじゃあねえ。茄子を食ってる蟋蟀野郎の癖に、百文なみに扱いやあがって、お姫様を煽げ、べらぼうめ。あの、先生、ここなんですがね、理窟は私あ分ってます、お夏さんは、うまれつき団扇ッてものは人を煽ぐものだッてことはかいきし知っちゃあいないんです。」
「うむ、まず。」
十九
愛吉は思わずまた吃逆をして、
「ヘッ、いや怨敵退散。真面目な所へ吃逆は情ない。そうじゃあございませんか、深川の家に居なすった時なんざ、団扇を持って、自分を煽いだ事だって滅多には無かったでしょう。