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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

二十六

姉さんどうしたんだッてね、余り可哀相だから声を懸けてやりましたが、返事をしません。疵処にばかり気を取られて、もう現なんだろうと思いました、少いのに疼々しい。」

二十六

「じれったいから突然肩に手を懸けると、その女中は苦しくッてか、袷も透すような汗びっしょり、ぶるぶる震えているんでしょう。

どうしたんだって聞きますとね、足の裏から突通るほどの踏抜をしたんだそうで、その前の日の事だっていうんです。

見りゃ込合っていましたけれど、どれも病人、人の世話を焼こうという元気の好い奴は居りませんや、こいつかかり合だ、身体を抜くわけにゃいかねえような気になりました。

一体どこの者だ、家は遠いかって聞きますとね、つい五町ばかり先でございます、あの、親分の処に、と弱った声でいいました。親方というのは鯰の伝――どうです騒の卵じゃありませんか、尋常事じゃアありますまい。

何でも伝が内の奉公人に違えねえ。野郎め、親方々々と間違でも人に謂われる奴が、汝が使ってる者がこんな怪我をしてるのに、医者に寄越すッて、ないら病の猫を押放したような工合は何たる処置だい、姉さんをつけて寄越さないまでも、腕車というものがないのじゃあなかろう、可哀相に丸ぽちゃの色の白いのが、今の間にげっそり痩せて、目のふちを真蒼にしていらあ、震えてるぜ。