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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
九
此方は面を赤うして、手拭を持った手を額にあて、
「これはどうも、手前不束ものでございます、へい、実は奥様にはお目に懸ってよく御礼をと申しつけられましたものでございますから。ええ、何でございましょうか、奥様はお邸でいらっしゃいましょうか。」
「はあ、居りますが。」
「いかがでございましょう、ちょいとお目に、」と御身分柄、お家柄、総じては日本の国風を心得ないことを言うのである。
鴨川は眉を顰めたが、さあらぬ調子で、
「面会日は別にあるです。」
「へい?」
「あれが皆様に別に面会しますのは水曜の午後です。」
「水曜の午後でございますか。」
鴨川は至極冷淡に、
「はあ、」
五ツ紋の青年は何か仔細ありげに、不心服の色を露わした。
九
「ですが、何も別してお手間は取らせません、ちょいといかがでございましょう。」
「誰にも皆そういうことになっておるですから、」
「へい、ごもっとも様ですが、そこン処をそのお繰合せ下さいまして。」
「たってお逢いなさりたい※(感嘆符疑問符、1-8-78)」と鴨川大人きっぱりとなる。
五ツ紋は慌てた形で、
「いえ、たってと申す訳ではございません。」
「そして何の用ですな。