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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

七

」

「貴方はどちらから、」

「ええ、手前事は、ええ何でございまして、そのあれでございますよ。」

「はい、」

人の内の取次というものは、いかなる場合にも真面目なものなり。

「お友達御免を蒙ります、手前はその日本橋人形町通り、勝山と申しまして、」

「勝山さん、」取次は聞き馴れないという顔色。

「いえ、手前がその勝山と申すんじゃあございませんので、」

「ははあ、」

「御当家先生様の、ええ、お弟子でございまして、その勝山と申しますお嬢さんからちょいと頼まれました、手前使の者でございます、少々お目に懸りとうございますが、お宅でいらっしゃいましょうか、お友達、お取次を願いとう存じますんで、へい。」

「先生はお宅ですが、ちょいとお待ち下さい、」と妙な顔をして取次はくるりと入った、青年は我を忘れた風でひょいとその頸を縮めたが、立直って、えへん内証の咳一咳。

七

「さあ、こちらへ、私が加茂川で。はあ、」と仰向いて挨拶をする。これはあえて人を軽蔑するのでもなく、また自ら尊大にするのでもない。加茂川は鬼神の心をも和ぐるという歌人であるのみならず、その気立が優しく、その容貌も優しいので、鼻下、頤に髯は貯えているが、それさえ人柄に依って威厳的に可恐しゅうはなく、かえって百人一首中なる大宮人の生したそれのように、見る者をして古代優美の感を起さしむる、ただし