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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

二十二

素人療治では覚束なくなると、あたかも可紋床は、かねて山の井に縁故があった。

先の義庵先生は、市に大隠を極めて浜町に住ったので、若い奴等などと言って紋床へ割込んで、夕方から集る職人仕事師輩を凹ますのを面白がって、至極の鉄拐、殊の外稲荷が贔屓であったので、若先生の髪も紋床が承る。

二十二

(どうです豪傑、蝦蟇の膏じゃあ不可ませんか。)と薬局に痛めつけられて、いつも蝦蟇の膏と酒さえありゃ外科も内科も訳なしだ、お前さん方は弱い者苛めで儲けるんだ、などと大言を発する愛吉、中指のさきで耳の上を掻きながら大悄げになってその日もまた。

明石町へ通うこと五日六日、もう佳かろうという日のことであった。

打傾いたり、首垂れたり、溜息をしたり、咳いたり、堅炭を埋けた大火鉢に崩折れて凭れたり、そうかと思うと欠伸をする、老若の患者、薬取がひしと詰懸けている玄関を、へい、御免ねえ、で愛吉はつかつかと。

かかる馴染でお出入といったような怪我人であるから、番号も遠慮もない、愛吉は四辺構わず、

(おう、柴田さん、この、診察所、と黒塗の板に胡粉で書いてある、この札をどうかしておくんなさいな。