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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
四十三
「待ちゃあがれ此奴等、私が出入先をどうするんだ。」
奥から引返して出たのはお夏、五七人の男を対手に、いかに負けじとてどうする事ぞ、右手に長煙草を提げたり。かねて煙草は嗜まぬから、これは母親の枕辺にあったのだろう、お夏はこの得物を取りに駆込んだのであった。
「お嬢さん。」
「愛吉か。」
そのまま店から下りそうなるを、びったりと背でおさえて、愛吉は土間一杯に身構えながら、件の賽の目のごとき足並の人立に向って、かすれた声、
「やい! 何方様もよくおいで遊ばされやがったね、へへへへへへ、何御用でございますか、仰せ聞けられまし、へへへへへ。」
四十三
「……七銭三厘、二銭、五銭、十五銭、一銭、二十五銭、三十銭、可いかい。」
「へい、可うございます。」
愛吉は神妙に割膝で畏り、算盤を弾いている。間を隔てた帳場格子の内に、掛硯の上で帳面を読むのはお夏で、釣洋燈は持って来て台の上、店には半蔀を下してある。
「十銭、十八銭、四十銭、五十八銭。」
「旨えもんですぜ。」
「こんなに遅く読むのを置くのじゃあないか、ちっとも旨いことはありゃしない。」
「いいえさ、商もこうなりゃ、占めたものだというんでさ。