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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
二十一
三、人を馬鹿にすンな、内に昼寝をしてる処へ、意休が髯を持込んだって気に向かなけりゃお断り申すんだぜ、憚んながらこの稲荷はな、寄席へ出開帳はしねえんだ、あばよ、一昨日来い、とフイと通過ぎたことがあるから、坊主が憎けりゃ袈裟までの筆法で、同一内の愛吉にも含んだ意味があるらしかった。
(放せ、やい、愛の手ッ首は細いッてよ、女の子が加減をして握るぜえ、この鯰め。)といきなり取られた手を振切って、愛吉は下駄を脱いで飛蒐った、勢に恐れて伝六はたじたじと退ったが、附いていた若い衆がむらむらと押取り包んで、胴上げにして放り出した。
愛吉は足も立たず、腰も立たず、のめッているのを、いや、踏むやら、蹴るやら。これを笑いずてに尻をまくった鯰の伝六を真先に、若者の立去ったあとで、口惜い! とばかりぶるぶると顫えて突立ったが、愛吉は血だらけになっていたのである。
二十一
築地明石町に山の井光起といって、府下第一流の国手がある、年紀はまだ壮いけれども、医科大学の業を卒えると、直ぐ一年志願兵に出て軍隊附になった、その経験のある上に、第二病院の外科の医員で、且つ自宅でも診察に応じている。