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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
三十三
て来たのだ。」
三十三
「ちょうどその時分下火になったと見えまして、雲が颯とかかったように、一面赤かった中へ黒味がさしましたわ、女連の姿は消えたよう、お夏さんばかりが判然と、ぱっちりとした目の色も見えて、私が手の鶏を御覧なすったが、何、あとのは張詰めた気が弛んだか、足取が乱れて、あっちへふらり、こっちへひょろり、一人は危険な欄干に凭れかかりましたし、もう一人は何の事はない、そこへ打坐ってしまったんです。手を取って起して見りゃ、松ッていう女中なんで、怪しいも怪しくないも、場所だって不思議はありません。
全体この橋も、池を渡った向うも、旧はやっぱりその時分の勝山さんぐらいな御大家の庭だったんで、橋がまた庭の景色の一ツだったそうですが、馬、車なんざ思いも寄らず、人ッ子だって通りやしません。ただね、材木を組んで筏を拵えて流して来るのが、この下を抜ける時、どこでも勝手次第に長鍵を打込んで、突張って、潜るくらいなもので、旦那が買置なすった。その中綺麗にして、藤棚の池へ倒れ込んでるのなんぞ直したら、お夏さんの祈祷所みたようのもの、勝山さんだけの弁天様の堂を建立しようなんてね、いっていなすった、その埋地へ遁げて来たんでさ。