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ちからもち
力餅
島崎 藤村
「力餅」研究社、1940(昭和15)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 65,974 字 · 130 页
第六章 姉
一 姉
二 姉の家
それには待っていてくださることです。新しい太陽は、きっと皆さんのなかにも登ってくるでしょう。
第六章 姉
一 姉
姉ですか。姉は木曾福島のほうにある高瀬の家にかたづいていました。女のきょうだいといえば、わたしにはこの姉一人でしたが、だいぶ年が違いますし、それに遠く離れてばかり暮らしていまして、おたがいにいっしょになるおりもめったになかったのです。
皆さんにも前にお話ししたように、母がなくなりました時、わたしは郷里の神坂村のほうで、久しぶりの姉と落ち合い、その葬式を済まし、父の墓をもともどもとむらいまして、その帰りには木曾福島まで姉といっしょでした。神坂村から木曾福島の町まで十二里です。木曾路の深いところです。その時は、ほかに連れもありましたが、なにしろ山坂は多し、木曾川づたいの道を女の足ではそうはかどらないものですから、途中二晩も泊まりました。しかし、この道は楽しく、それまで遠いところにいた姉がにわかに近く思われてきました。そう申してはなんですが、わたしたちの母の死が、こんな姉弟のものを近く思わせるようにしたのです。
二 姉の家
ある夏、保福寺峠や鳥居峠を越して木曾福島に姉の家をたずねました。