轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちからもち

力餅

島崎 藤村

「力餅」研究社、1940(昭和15)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 65,974 字 · 130 页

青空文庫

三 近江の刀鍛冶

三 近江の刀鍛冶

近江の刀鍛冶、堀井来助老人は、刀鍛冶のほうの名前を胤吉といいました。二十五歳の若さで近江の膳所藩のお抱えになったほどの腕ききでしたが、明治の世の中になりましてから一時刀の道もすたれたものですから、琵琶湖のほとりの鳥居川村というところにかくれて百姓のくわやかまなどを打っていました。

どうしてわたしがこんな刀鍛冶を知るようになりましたか、まずそのことからお話ししましょう。

まだ年若なころに、わたしも諸国の旅に出たことがあります。今のように乗り物もそう便利な時世ではなく、汽車で行かれないところはわらじがけで、毎日七里ぐらいの道を歩きました。そのうちに、だいぶくたぶれてきたものですから、しばらく石山の茶丈というところを借り旅の足を休めました。そのへんのことをすこしお話ししてみれば、近江の石山は古い歴史のあるところでして、国分山をうしろにし、湖水のながめも前にひらけていまして、大きな巌石の間に名高いお寺が建ててあるのです。茶丈とは、このお寺の門前にありまして、以前には参詣に集まって来る諸国の人たちのためお茶の接待をしたところだそうですが、わたしが行った時分はもうお茶の接待もすたれて、ただ大きな古い茶がまだけが残っていました。