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かいじんとしょうねんたんてい

怪人と少年探偵

江戸川 乱歩

「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页

青空文庫

そして、ここを、秘密の出入り口に使っているんだよ」

「それなら、どこかに、奥へ行ける道があるはずだね」

ふたりは、マンホールの底に立って、回りのかべを調べました。

すると、目の前のコンクリートのかべに、スーッと、細いわれ目が、できてきました。そして、それが、だんだん、太くなっていくではありませんか。

「あっ、かくし戸だっ。向こうへ、開いていく」

それは四角いコンクリートのドアでした。なにもしないのに、それが、ひとりでに開いていくのです。悪者が、わざと、中から開いているのかもしれません。

二少年は、ここで用心しなければならなかったのです。うっかりすると、敵のわなに落ちるかもしれないからです。

しかし、井上君もポケット小僧も、大たんな少年ですから、にげだすことなど少しも考えません。

かくし戸が開いたのをさいわいに、すぐ、その中へ、もぐりこんでいきました。

まっくらです。ふたりとも万年筆型の懐中電燈を持っていましたから、それを出して、照らしてみました。だれもいません。コンクリートのかくし戸は、電気じかけで、遠くから、あけたり、しめたりできるのかもしれません。