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かいじんとしょうねんたんてい

怪人と少年探偵

江戸川 乱歩

「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页

青空文庫

おとし穴

ふたりは、だいたんにも、ドアをサッとひらいて中へはいっていきました。

おとし穴

少年探偵団の井上少年とポケット小僧は、地下道から、どこともしれぬ建物にはいり、その中の一つのへやで野村みち子ちゃんをかどわかした怪人と、向かいあって立つことになりました。

へやの正面に大きなデスクがおいてあって、その向こうに、人形のような、ぶきみな顔をもった怪人が、こしかけていました。

デスクの上には、卓上電話があり、そのそばに、ウィスキーのびんと、グラスがおいてあります。怪人はウィスキーを、ちびちびやりながら、みち子ちゃんのおとうさんに、ゆすりの電話をかけていたらしいのです。

「きみたちは、じつに勇気があるねえ。こどもばかりで、マンホールから、このおそろしいうちへしのびこむなんて、いのちしらずだよ。いったい、しのびこんで、どうするつもりだったんだね」

「きみが、あの女の子をどうするのか、見とどけて、たすけ出すためさ。ぼくらは少年探偵団だからね」

井上少年が、すこしもおそれないで、いいました。

「ふうん、かんしん、かんしん。だが、きみたちふたりきりで、そんなことができると思っているのかね」