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かいじんとしょうねんたんてい

怪人と少年探偵

江戸川 乱歩

「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页

青空文庫

マンホールから

それでも、まだ、なにかわめいています。

「ちがう。ちがうったら。お面をとってくれ。このお面をとってくれっ」

やっと、怪人のいっていることがきこえました。「ちがう」とは、なにがちがうのでしょうか。

マンホールから

お話かわって、こちらは、へいの外のマンホールのそばです。

そこには、ふたりのおまわりさんが、しゃがんで、見はりばんをしていました。もし、怪人がここからにげようとしたら、つかまえるためです。

「おい、マンホールのふたが動いたようだぜ」

ひとりのおまわりさんが、ささやくようにいいました。

「あっ、そうだ。動いている。あいつは、ここからにげるつもりだなっ」

ふたりのおまわりさんは、マンホールのふたが開いて、怪人が頭を出したら、すぐに、とっつかまえてやろうと、身がまえをしました。鉄のふたは、ジリッ、ジリッと動いて、すきまがだんだん大きくなっていきます。

そのすきまから、声がきこえてきました。

「だれかいませんか。てつだってください、ひとりでは重いですよ」

なんだかへんです。怪人ならば、おまわりさんに、てつだってくれなんて、いうはずはありません。

ふたりは、鉄のふたに手をかけて、横にずらしました。