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かいじんとしょうねんたんてい
怪人と少年探偵
江戸川 乱歩
「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页
マンホールのひみつ
マンホールのひみつ
男はベンチのそばによると、いきなり、少女に声をかけました。
「おじょうさん、あんた野村みち子さんでしょう」
「ええ、そうよ」
少女はびっくりしたように、本から目をあげて、男の顔を見ました。
「あんたのおうちの人からたのまれたんだが、おかあさんが、道でけがをされて、近くの山田病院へかつぎこまれている。おとうさんは、おかあさんにつきっきりだから、おじょうさんを、さがして、つれてくるようにって、たのまれたのですよ。さあ、すぐ、わたしといっしょに、きてください」
野村みち子さんは、おかあさんがけがをしたときくと、しんぱいで、まっさおになって、なにを思うひまもなく、いそいでベンチから立ちあがると、男といっしょに、あるきだしました。
みち子さんは、考えがたりなかったのです。見知らぬ人に、なにか言われても、そのまましたがってはいけません。じぶんでおうちまで行って、たしかめてみるのです。道に、赤電話があったら、それで、おうちの人とはなしてみるのです。
もし、男が、そんなことをしてはいけないと言ったら、なおあやしいことになります。そうなったら、大声で、たすけをもとめればいいのです。