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かいじんとしょうねんたんてい
怪人と少年探偵
江戸川 乱歩
「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页
かすかな足音
「おれたちは、なんにも知らねえ。ただのやといにんだよ。首領はとっくに、にげてしまった。おまえさんがたにつかまりっこはねえよ」
うそをいっているようにもみえません。ふたりとも、あまりりこうそうな顔でもありませんから、これがあのすばしっこい怪盗とは、考えられないのです。しかし、もしにげたとすれば、見はりの警官につかまるはずです。まだそんな知らせがないところをみると、どこか家の中に、かくれているのではないでしょうか。
かすかな足音
地下室の水の中では、井上君とポケット小僧が、もう一時間もおよいでいました。およぐといっても、ふつうにおよぐわけではなく、両手でコンクリートの壁にすがって、身を浮かせていればいいのですが、じっとしていては、しずんでしまうので、ときどき、足をうごかさなければなりません。
つめたさに、からだがしびれたようになって、いまにも気をうしないそうです。
「おやっ……、井上さん、聞こえるかい」
とつぜん、ポケット小僧が、はずんだ声でいいました。
「なにが?」
「ほら、足音だよ。上をだれかがあるいているよ。ひとりじゃない。おおぜいの足音だ」
「あっ、そうだね。