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かいじんとしょうねんたんてい

怪人と少年探偵

江戸川 乱歩

「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页

青空文庫

明智探偵がわらいながらいいますと、紳士人形は、あきらめたように、顔につけていたお面をとって、こちらへ出てきました。

「しかたがねえ。こいつが、にげだそうとするものだから、つい、うごいてしまった。おい、おめえもお面をとるがいい」

すると、人形の中から、もうひとり、モーニングをきた男が、お面をとって、おずおずと出てきました。人形にばけていたのは、このふたりの男と少女だけで、あとは、ほんとうの人形でした。中村警部が、ひとつひとつさわってあるいて、たしかめたのです。

「あんた、野村みち子ちゃんだね」

明智探偵が、少女の手をとって、たずねますと、少女はうなずいてみせました。

「こいつらは、あんたのおとうさんをおどかしていたんだよ。わたしは、おとうさんから、そうだんをうけたので、よく知っている。それで、あんたをたすけにきたんだよ」

こうして、野村みち子ちゃんは、ぶじにたすけ出されました。また、怪人がぬすみためた宝石なども、とりかえすことができたのです。

「きみたちふたりのうち、デパートで宝石をぬすんだのは、どちらだね」明智探偵は、ふたりの男をにらみつけて、たずねますと、せびろの男が、にくにくしげに、こたえました。