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かいじんとしょうねんたんてい
怪人と少年探偵
江戸川 乱歩
「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页
「あいつ変装の名人だね。だが、明智先生にはかなわないよ。先生はなににだって、ばけられるんだからな。それに、小林団長だって、変装はうまいよ。女の子にばけたときなんか、まるでわからないんだもの」
ポケット小僧が、とくいらしく言いました。
「だが、デパートの人形にばけるなんて、おそろしいやつだよ。そして、たくさんの宝石をぬすんで、にげちゃったんだからな。もし、そいつにでくわしたら、ぼく、このうでをふるってやるんだがなあ」
井上君は、うでをなでながら、言うのでした。ふたりは、背の高さが、おとなと子どもほどちがいましたが、たいへんなかがいいのです。
そこは、人どおりの少ない、さびしい町でした。ふと気がつくと、むこうから、ひとりのみょうな男が、あるいてくるのです。
グレー(灰色)のせびろをきて、同じ色のソフトをかぶって、まっすぐ前をむいて、わきめもふらず、あるいてくるのですが、そのようすがなんだか、へんでした。ふたりは、すれちがってしまうまで、その男をみつめていました。
「あいつ、へんだぜ。顔がちっとも動かなかったよ。目も動かなかったよ」
ポケット小僧がささやきますと、井上君もうなずいて、