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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
いったりする気になるんだろうと見るわけです。それが又当ってもいてね。自分で人間の評価の出来ない人は、ぐるりの評判で、自分の判断とするのですから。仕事が金にならなければ、そのねうちを評価しないというところ迄常識は金に買われてしまっているのねえ。ですから私は、全く沢山の若い女のひとたちに同情いたします、金がその仕事でとれるようになったとき誰の助力がいるでしょう、ねえ。金にならないうちこそ助けがいるのですもの。だから私は金のとれないとき(時代)、助けを必要としている若い女のひとにどうしても冷淡になれません。女には投資として仕事をさせるひともないわ、投資すれば常にそれは女に投資するのです、仕事へではないわ。これは大略、世界の女の苦しみでしょうね。
そう云えば栄さんが『暦』で新潮賞一千円也を貰います。そして、いろいろ計算すると、借金をかえし貸金をさせてやると、五十円ほどのこるそうです、それで私たちに御馳走をしてくれるそうです。中野さんが『三田新聞』に『文学の進路』の書評をかいてくれました。この本は面白い本である。本の形は小さい。けれども読むと中味において大きいという本である。