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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
七月七日
蘇峰そっくりな顔をしている。そして自分で百姓百姓という。この男が、米のことでいろいろ話します。四五年前、ゴムローラーで白米にすると、同じ一石に米粒が多く入って百姓はそれだけ損をする、米もくさりやすいということで、いろいろ運動した。竹内茂代という女の博士が白米廃止運動をそのときはじめ「これだけですね、ものになったのは」と云っている。吉植の考えのポイントが、竹内さんにどううつっているのでしょう。竹内さんはお医者として云っている、賛成しているつもりなのよ。こういう組み合わせ。ひとの説に賛成するしないの機微。バルザックやスタンダールはこういうモメントをどう描破しているでしょうね。
それから、絵で描いたら頭部が半分しかないような人たちが集って、ゴの手でも評定するように、妙な形のマス目で、国際のいきさつ、動きをああこう喋り合っている光景、これはブリューゲルの世界に近いし。
では金曜日に又。そちらの番地半分だけ活字ね、面白いこと。眼を呉々お大切に。
七月七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
七月七日 第三十二信
これは、四・半に机を出して書いて居ります。