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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

七月十五日

涼風おこらざれば、みずから西風になって吹かん、でしょう? こうきくと、いかにも颯爽としているようですが。

ね、下にいると面白いことよ、いろいろあたりの生活の動きが響いて来て。水を出したりいろいろしていて。今夜もうんと早ねをしてみます、ダルク眠たくなくなるように。明日は朝そちらへゆくつもりよ。さもないと青いものを入れられませんし、なるたけ早いうちにお中元をすましてしまいたいから。ほんとに落付ききらないうちに。

七月十五日 (消印)〔巣鴨拘置所の顕治宛 徳山駅にて(徳山市街の一部(※(ローマ数字2、1-13-22))、徳山市熊野神社(※(ローマ数字3、1-13-23))、縣社遠石八幡宮(※(ローマ数字4、1-13-24))の写真絵はがき)〕

※(ローマ数字2、1-13-22)ここのエハガキはおやしろばっかりで中学のがないのね。あればいいのに。珍しく涼しくて混んだ汽車でも大助りでした。この分でしたらきょうも曇天ね。ここまで来て二時間も待つのは可笑しいこと。汽車の中では、ヴォードレイル伝というのを読み初めてこの詩人の生活を知りました。十九世紀のロマンティストというものの意味も突めて考えながら。