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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
二月五日ひる
二月五日ひる 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
二月二日
三十日にかいて下すったというお手紙、まだつきません。どうしたのでしょうね。
きのうは、あれから小川町にまわって高山から本をとって、伊東やへ行って子供たちへのおみやげ買って、それから小田急にのろうとしたらまず栄さんがモックリモックリ段をのぼってゆくのを見つけ、やアとインバネスがふりかえったらそれは繁治さんでした。まアねったよう、というのは、北海道のおっかさんでした。それに豪徳寺でおりたら健造とター坊が、父ちゃん来られないんだってと来ていて、珍しい一隊をなしてくりこみました。
大きい紅茶の一組になったオママゴトを卯女に買って行ってやったものだから、そのよろこびよう! 康子にはクルクルまわる輪車に、お人形、栄さんは下駄よ。実に大笑いして子供たちのさわぎを見物しました。一ヵ月ちがいの二人の娘たちよ、三つの。全く面白い。ふた子ってやっぱりこんなに面白いのでしょうね。卯女は何でもアクティヴです、康子リードされている、それできっとずっと仲よしでしょう。
きょうは一日ゆっくりうちにいて、中公の本の序文のかき直ししたり小説をこねたり。