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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
一月二十五日
小さい菫の花束のようにして売ります。
私は北がすきです、冬の長さ、春のあの愉しさ、初夏の湧くような生活力、真夏のあつさのたのしみかた、旺ですきよ。東京は雪の少いのだけでも物足りませんね。特に今年は一月六日に一寸ふったきりで。
あなたは雪の面白さ、お好き? 雪だるまをつくるくらい島田に雪が降ります? 初めて島田へ行って駅に下りたとき、それは一月六日ごろで、かるい粉雪が私の紫のコートにふりかかったのを覚えて居ります。つもりはしなかったわ。それでも炬燵は本式ね。今年は炭がないので、どこでも急に炬燵を切ったりして稲ちゃんのところは信州から一式買って来たそうです。うちはこしらえません。では、又のちほど。
[自注1]彼のかいているもの――魯迅がケーテ・コルヴィッツの版画を紹介した文章。
一月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
一月二十五日 第七信
こんにちは。きょうは寒い日です。きのう神田へまわったら魯迅全集がなくて、きょう、とりよせておいて貰うことにして、さっきお恭ちゃんがとりにゆきました。六巻で十二円よ。でもケーテのことをかいたり、本が出来たり、二十三日だったりしたことのために買ってもいいと思って。