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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
あっちこっちきいてみると大体そうね。卯女のところもそうよ。行一郎のところもそうよ。大したものでしょう?
私はあなたの冬のための襦袢だとか、衣類だとか、少し心がけてあったからその点全くほくほくです。それだけは心安らかというのはありがたいわ。これからのプーパタに加ったらそれこそですから。
いろんな世帯じみた話。でもこの頃はいろんなインチキ会社が出来てね、とんだ会社員でくみ立てられた会社が、一流会社のようにひとをだましているらしいようです。空巣も大ばやりです、花見にかけてだから。そしてこれは実に面白い、質札買います、という広告が新聞に出ます。もとはなかった広告でしょう? そんな会社にしろ、世間の必然でだぶついて来ているものを吸収して、どしどし破産させてゆく力は旺盛です。そう云えば文芸春秋でよこした国債が大当りでもすればいいのにね。
太郎、あのお手紙に返事かいたかしら。きょうはおなかをこわして臥ているそうです。あのお手紙に、熱のない風邪のことかかれていて、本当に、と思いました。さっきの肝臓病のこと、肝のあるおかげで肝をつぶすというようなこともあるけれど、こればかりはとれなくてね、盲腸のようには。