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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
日本には評論の史的研究は久松潜一氏のものなどなくはないし土方定一がいつか一寸したもの出していたりしましたが、作品についての、そういう具体的な、作家の矛盾にまでふれての方法の研究はまだありません。日本に最初の仕事なのだけれど、これまた系統が立ちすぎて、なかなかの苦労というわけでしょう。評論風の仕事でやってみたいのは今そのプランと、荒木田麗子とかいう徳川時代の婦人歴史家の仕事についてのノート。これは手近で、案外『文芸』あたりにのるのかもしれません。徳川時代の女が和歌俳句の領野にかたまっていたとき、この細君一人、永い歴史ものをいくつもかいています。この夫人の旦那さんはものわかりがよかったのよ。大いにはげまして、方法も教えて(或は)テーマもヒントしてやったらしいのですから、夫婦としてもなかなかほめるべきです。この女のひとと、婦人の狂歌師――諷刺詩人が一人いてね、それもどういうのか知りたいの。何をどう川柳としてうたったかということについて。大変珍しいのですもの、女のそういうジャンルの人は。
小説は、筑摩の仕事まとめてからかかります。ほんとに骨格のしゃんとした、肉づけの厚くて動いている小説かきましょうねえ。