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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
太郎が四月一日、きのうから学校よ。三百二十何人か新入学だそうです。五組にわけて、太郎は第三の組。今年から国民学校で八年です。きのうは、あれからカンガルーのブックエンドをお祝にもって行ってやりました。
おけさという開成山のばあさまが、太郎の入学祝いに田舎からわざわざ餅をついてかついで出て来ました。これはおじいさんのとき一郎爺(私は三郎爺としてかいている爺さん)というのがあって、その娘で、大した働きもので、今では富農です。気のからりとしたばあさんで、寿江子や太郎なんか私もろとも孫と思っているので、お祝に来たわけ。
そのばあさまは、私があなたのことや島田のこと話し、やっぱりあなたがおばあちゃん子だったこと話すので、お目にかからないのにそんな噂も知っているのよ。雪雄っていう六つの孫が御秘蔵でね、なーして(どうして)、こんげな(こんな)鬼みてよなばあさまにとっつくだ、というと、雪雄は、そいでもいいんだア、めんごくねえことねえ(かわいくないことない)って云ったと云って、トロトロになって云って居りました。そして、東京へ来るって云ったら、おら、どうすんだ、道ばたさばっかりいんのかアと歎いた由。