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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

何かあつそうに見えました。熱なの? そうではないでしょう? てっちゃんはいつも元気そうでした、というから何にも当にはなりません。私は疑わしそうに、いつも、そうかしらと答えます。お大切に、ね。本当に大切に。

上り屋敷でおりてから(真直かえりました)お礼に佐藤さんのところへよったらば、赤坊がそりくりかえって泣いていて、お婆ちゃんが、もてあましているの、さち子さんおなかをわるくして二階に臥ているというので、上って見たら、その声もきこえず眠っている、下では行坊わめいているので、私は市場へ買物にまわる、そのついでに乳母車にのせてやろうと、おばアちゃんをすすめて車にのせてひき出してやったら、ハア、ハア? とふりかえって顔を見てすっかり泣きやみました、そこで上りやしきの駅の横で電車を見物させて、私は市場へまわり買物しようとしたら、きょうは肉なしデーでした。うちの肉屋も一ヵ月に四日休みます、玉子を買うハンコを押したりいろいろして、かえりに魚やへまわって夜のお菜を云いつけて、かえって、ヤレとおしりをおとしました。

夕飯の仕度をする間、どうにも髪を洗いたくて、たきつけて、ゆっくり食事して、さて又ゆっくり髪を洗い、体を洗い、あげくに風呂桶を洗って、さて、ここで一服というわけです。