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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
三一年というと、今日にしてみればその頃来るべき新しい時代の女性というものをどう考えていたかというようなことが逆に見られるわけでしょうね。その意味では或は面白いかもしれませんね。本当に十年前。もとより十年の間にも決して古びない婦人観はあり得るけれど、どんな視点でかかれているのでしょう。
文学古典から、ということを、やはり考えます。トルストイはもうつかまえて居るのです、彼の性と女性との見かたについて。あといろいろたぐりよせるのですが、シェクスピアの「オセロ」なんかやはり面白いところがあります。『私たちの生活』の校正がもう出て、ね、大スピードね、百頁以上初校すみました。その間に、あれこれ次のこと考えている次第です。書く以上やっぱり美しい高いところのある本が書きたいことね。本にしろにせものと本ものとの区別出来る感覚をめざませたいことね。人間が発見してゆく智能というものの価値をしっかりとしらしめたいとも思います、プランがむずかしくて。科学の精神というものについてだってやっぱりはっきり書きたいのですもの。
私の手紙へのこと。恐縮仕ったというところを読んで、何だかにやりとしてしまいました。