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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

ピカピカゴロゴロは風雨を誘うものでありますから、その天然の理法によって、ピカリとすればおのずからホトバシルのかもしれないし、そのところだけはぬかして鳴ってくれとたのむ方も虫がよすぎて相すまないのかもしれないけれど、でも本当にお願いいたします。よくて? 本当のお願いよ。どんなひとだって、急所はあるものよ、私の急所はその辺らしい様子です。ソクラテスは、偉かったでしょうが、或はこの急所をきっといくらか揶揄したのよ。女房というものは獰猛なものだということを余りえらすぎて忘れたのよ。クサンチッペをこれだけ擁護するということは、私もバタつく驢馬になれるし、それから先のものになる可能もある(!)というおそるべきことなのかもしれません、可怖、可怖。

私は、よくよくあの「それに応じて」以下数個の文字がいやと見えます。たとえばこの二つのお手紙の、懇切さにつづいて出て来たにしろ、そこへさしかかれば、きっと、私は胸の中が変な工合になって来て、いやあだと感じるでしょう。もとより原因をなくすかなくさないのが自分の責任だということは承知の上で。自分の弱点を、家庭的な云いならわしだの笑い草だので、合理化してしまえば、それは過去の幾百千万の家庭のなかみと同じになってしまうから、あなたが、あれは事務的に下手なのだからと諦めて下さらないこと