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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
下の四・半に机を出して。うまくあんばいをしてやりましょう。一日十枚はかけるでしょう、小説でないから。そこに望をつないでいるわけです、私は一心に、親切な真面目なものをかくつもりよ。
『私たちの生活』は七月五日ごろに出来上ります、さっぱりした可愛い表紙よ。藤川さん本気でかいてくれたから。つよい動きの感じはかけていますが、この画家の真面目さや清潔さは出ています。
おや、前のうちで電気チクオンキが買えたらしいわ、なかなかいいレコードがきこえます。ラジオのようではないから。この頃はボーナスシーズンよ。ワグネルのタンホイザーか何かをやっています。ここの家よ、ピアノのおけいこをしているの。こうやってたまにきくのはうれしいけれど、しょっちゅうになっては閉口ね。
達治さん、では九月まで大丈夫ということにして置こうというお話しでした。何か気になることね。又本当におっしゃったとおりね、なんかというのは困るわねえ。でも八月なんかと云って、もうすこし待ってなんかというのわるいし。それに東京の八月、御本人もそれは戦地へ行ってたのだからと云えばそうでしょうが、お互につらいわ。案内する方も。