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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
九月ね。どうも。あっちは九月でもいいのでしょう? こっちへ何のお話もありません。
私がいくらかやせたと云ってもホーとお笑いになるでしょうけれど、ほんとにいくらかやせたのよ。やっぱりバタなし牛肉なしたべるもの何となくなし(お菓子なんてまるでないから)というのがきくのでしょうか。血圧のことは本当なのよ。あなたはユリの円さにおどかされて御心配なのだけれど、みるひとがみればユリの円さは溢血的丸さからちがっていることを申しますよ。栄さんの方は実際血圧がたかいし、溢血的傾向なのよ。私は父のようよ、或は西村の祖母のようよ。溢血はおこさないで死ぬまで元気で、わりあいあっけなくさよならのくちよ。それは殆ど十人が十人そうだろうと云います。ですから、あなたもどうぞそのおつもりで(※(疑問符感嘆符、1-8-77))(いくらか、ゆするみたいですみません)
さて二十六日のお手紙。「深刻」かっこつきのこと。自負なんかしていないわ、まさか。それから歪みのげてもの的興味も肯定しては居りません、それは大丈夫と云ってしまっては又浅くうけ合っているようですが。そういう「深さ」「神経」には私は調和出来ないたちなのだから。