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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
素面で船にのれるだけ勇気のあるものは少いそうですから。気がもてんのじゃそうです。隆ちゃんなんかのこと考えるわ。あのひとは今どうでしょうね。もとは飲まず立って行ったけれど。お母さんがおかえりになったら(きょうの午後になりましょうが)そしたらこの先の様子つづけます。なかなか千変万化でしょう? 私のかえるのもこの調子では見とおし立たず。もうすこし様子みて決定いたします。塩十銭、五銭、五十銭というお客。バット一つ、あれ二つこれ一つというお客。なかなか立ったりいたりです。便利瓦ありましょうかいな、と云って入って来る。さあどうでしょう、そう云って店の鴨居に貼ってある公価目録を片はじからよみあげる。ありませんですね。そうじゃのう、お世話さん、どうもおあいにくさま。(ここの調子は名調子よ。)店には今肥料は一つもありません。豆タンの袋、セメンの袋、石粉。煙突左官などの材料。
鴨居の品書き
五吋 四・五吋 四吋 三・五吋 三吋
石綿煙突 一本 三円 二・六三 二・二五 一・五〇 一・三五
バンド 一本 六〇銭 五〇 三九 三五 二九