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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
それに、ちょいちょいよみかえして、大きい字を見ると変ね。いろんな響や匂いが大きい字の間からぬけてしまっているようで。細かい字にとおっしゃった感じわかるようです、紙数ばかりのことでないものもあって。
きのうはそちらからかえりに池袋で円タクひろって、目白へまわって荷をもって林町へゆきました。寿江子は十四日に立つそうです。国が、土・日と行って。林町は今臨時の留守番のひとと武内というもとうちにいた人の夫婦がいますが、丁度一尺ざしを三本立てたような感じでね。これもどうもとっつきにくい空気です。私も留守番、私も。という気分からそういうことになるのね。大変工合がしっくりしないので、国、夜業から十時すぎかえって寿江子が安積へ行ったら姉さん来てくれるといいなあと申しましたが、評定の結果、こちらは動かないことにしました。国だってあすこから行けるところがどこかになくては困るのだし、私にしろ、やはりいざというとき家を放ぽってどこかへ行ってもしまえないから。隣近所に対しても。ここから奥の方でいくらか森でもあるところにすこし心がけておいて、やはりここは動かないのが落ちでしょう。