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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
人も問うに落ちず語るに落ちるではないか、と。こういうひとの考えかたは、どうしても、白髪になってもやはり髄ぬけのままなのね。尾崎士郎は庶民にかえれ、と云っている。精神を庶民の精神にしろ、というのですが、そこでは受動性の肯定で云われて居ります。文芸面もそういう工合です。
病気の手当法についてのお話。どうもありがとう。私も日頃そのつもりで居ります。それがいい方法ということが確められて一層ゆとりが出来ます。でも急病になんかかかりたくないことねえ。まして疫病で死になんかしたくないことね。この頃の豆腐は恐ろしいのよ。極めて悪質の中毒をおこします。うちでは、この豆腐ずきなのにたべません。出来る用心は細心にして居るわけですが。
重治さん茂吉論も駄目でしたって(中公)。
筑摩の仕事をすまして見てその頃の状態によって、暮しかた考える必要があるだろうとも思って居ります。
きょうも昼間は大分暑うございましたが、風は秋ね。秋が待たれます。十分夏らしくないくせに体にこたえた夏でしたから。
お愛さんという娘はこういう娘としてはましの部よ。いろいろまめにいたします。ひねくれていません。