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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

最近の人たちは、更に動的で、バックのように自分はいくらか傍観的に生きて観察し考(思)索して書いてゆくのではなくて、毎日の中から生きているままに書いてゆく(技術的にではなくて、心理的にね)風になっていて、その意味で文学感覚そのものが行動性をもっていることです。偏見のすくないこと、現実のひどさを見ていてそれにひるまないで暖さも賢さも正しさも見失うまいとしている態度、変転をうけ入れてゆく態度。説教はしないで話すという態度。これらは平凡なことですけれど、しかし平凡さが次第にリアリスティックな把握力をつよめて来ているということの興味ある現象だと思います。(マックカラーズ)

第一次の大戦のとき、性急に動くひとと、動きを否定して内面の動きだけ追求した人々(心理派)とに分れて、行動派は重厚な思慮を持たなかったし、考え組は体をちっとでも動したら考えがみだれる式であったでしょう。第二次の大戦には、そういう段階でなくなっているのね、万人が二十五年の間に大きい範囲で、考えつつ行動し、行動しつつ考え、行動がいつも最善に行われるのでないことも知り、悪と闘うのにより小さい行為で黙って行って闘って行くという風なところを持って来ているのがわかります。