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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
パラリパラリと大きい字があって、間から風がとおしているようよ。(慾ばり※(疑問符感嘆符、1-8-77))
さあ、いよいよ落付いて、仕事をすすめなくてはね。私は実にうまく引越して、ギリギリの一文なしよ。だからあなたに年の末までをお送りしておいたのはなかなかやりくり上手だったということになります。そのうちには又ポツリポツリと雨だれを小桶にうけておきますから。
夢の話大笑いね、でもなかなか哀れふかいところもあるとお思いにならないこと? あなたは本やに何とか云っておくれたことを話していて下さるのよ。こうやって、云って貰うのは何て楽だろうとほっこりしてわきにいるの。大変たのみになる心持だったことよ。実際だったら、あなたはそんなとき云って下さる? 余り心理的で、陽気にふき出してしまいました。こんなのだって、かりに私が本やに話したりすると、本やは本気にしないわきっと。余りつぼにはまりすぎていて。人間の心もちって妙ね。では今夜はこれで終り。咳すこし出ますが大丈夫です。協力は笑草ほど増刷いたしました。
[自注7]あのダムを必要によってこわしてしまったというニュース――ソヴェト同盟の労働者は、一九四一年の秋ナチス軍の手から守るためにドニエプルの大ダムを自ら破壊した。