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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
子供がいるとなかなか面白いわ。太郎がね、一昨夜夜中に、おかあちゃあと泣いているのですって。床のところを父さんがさぐって見てもいないのだって。スタンドつけても見当らないので、さがしたら、ずっと枕もとの上の方に母さんの机がおいてある、その足の間にすっかりはまって、手をバタバタやって天井をさぐったりあっちをさぐったりして泣いているのだって。よっぽどこわかったのでしょう、父さんにだかれてあっためて貰いながらそれでも泣いていたって。きっと何とこわく感じたでしょう、翌日、ちいちゃいおばちゃんの室へ行ってベッドの上に仰向きになって、そこはすこし天井が低くなっているので、そこをしげしげ見ていたが、やがて、ネエ、ちっちゃいおばちゃん、ベッドへねていて、天井がずーっとずーっと低くなってそこいらぐらい低くなったらどうする? としきりにきいていたって。ぼんやり感じ思い出したのね、でもよくうまくあの机の下へすっぽり入りきったと大笑いしました。
今に島田へ行ってもなかなかにぎやかなことでしょう。机の前に、あなたも御覧になった輝をだいた写真とあきら一人のとをおいています。咲枝はじめてその写真を見て、あらアと羨しがっていたわ。