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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

訳序第一行「この書はユダヤ人誰々の」という調子です。全体が一寸必要に迫られないと読みにくい訳文です、ガサガサと荒くて。ああいう文章の味を、落付いた日本語にうつせるためには、本当のものわかりよさがいるというわけなのでしょう。推論のパリパリしたところを文調で反射しているようで。でも文化史としての概括や作家論は本当に面白そうです、ありがとう。先に教えて下すったときね、私は何だか小説と思いちがいしていました。それとも「金が書く」というのかと思ったらそれとも別のものでした。なかなか語学の力のいりそうな文章ですから、あれをおよみになったというのはえらいことね。達ちゃんと夏休みに暮していらしたという、そのときのこと?

今度はともかく世界文学史を一貫してよんで、いろいろ大変面白いし、わかるし、十九世紀初頭からそれ以前の古いものについてのこともいくらか分るようになりました。しかし大戦後のいい文学史というのはないのねえ。この『新文学史』の終りにしろアナトール・フランスです。尤もその時代に入れば直接作品から判断のもてるものが殖えているわけですが。

ノートをとってよんでいると、二つばかり別の副産物が得られて大変面白く、この頃は随分長い間机について居ります。