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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
私は落付けなくて、顔を又洗ってオリヴ油つけて、それでもまだ駄目よ。変にかゆいようなの。可笑しなこともあるものです。
(あらあら大変。寿江子がブーブーやり出したら、すっかり開けてあるものだからまるでとなりでやられるようです。)
南江堂の本いかがでしたろう。あなたがおっしゃっていたことを一寸思い出してそのあたりひらいてみたら、ほほうそういうものかしらと思うところがありましたけれども。片方の疾患が平静になったとき云々というところ。そういうものなのでしょうか。ヴィタミンはあがっているのでしょう? ずっと。AB? Dが入ったのがいいらしいけれども。そういうのはないのでしょうか。
きのうはエハガキに書いたように朝早く南江堂へ出かけ、午後は、あの例年の八反のどてらが仕立上って来て送れて一安心いたしました。もう、一枚は綿の入ったものがほしいわね。そして、その柔かく綿の入ったものをなつかしく思う心持は晩秋の感情ね、一つの。温度は綿のないものをいくつか重ねたって保てるかもしれないけれど。これはおくればせではなかったでしょう?
『新世界文学史』はもうやがて終ります。やっぱり読んでようございました。