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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
あなたが、余り御無沙汰にならぬようにしようと思って下さるのは極めて適切です。こうやって字が来ると、体温や声や顔やいろいろがどっさりついて来るのですもの。
きのう書いた手紙いずれこれの前につくでしょうが、きっとあなたは、このお手紙がきょうついたのはつく折としても大変適薬的だったということがおわかりになるでしょう。それは、きのうの手紙をおよみになれば、おのずからあきらかなわけによって。
さて、十七日のありがとうは皆によくつたえましょう。国男ったらね、折角国府津で心持よく暮して、よかったよかったとよろこんでいたのに、かえったその晩お酒のみすぎて下らないことにじぶくって、そのまま臥て、すっかり風邪を引いて、ずっとねているのよ。残念ねと云ったら合点してきまりわるそうにしていたわ。ずっとまだねていて、それもいいけれど、家中あやしくなってしまってそれが閉口よ。私なんかすこし危いの。薬のみましたが。
「思う」のこと、ありがとう。あれはね、抑※(二の字点、1-2-22)は、この頃の妙な感受性をさけて語調をやわらげようとしてつけたわけです。自分として何にも思うという不決定な気持でない場合でも。