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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
それに私にはいろいろ自分への希望もあって、最も親密によんでくださるひとの精神と情緒との隅々まで、くまなく触れるような、そういう書きかたがしたいのです。或ときは頭が快くもまれて、そのうちにあるものを再現し、或ときはなだらかに情感が表現されて、それはとりも直さず全くそのようなリズムで再現されるべき情感を語っているという風に。大したのぞみでしょう? これをこそ大望とや呼ぶ、でしょう。その希望は何割みたされていることでしょうね。六分どおりだったら上成績よ。このデュエットにおいてよくまだ録音されないのは低音の部だということになるでしょう、いつも。いかが? 本当にこのことは知りたいと思います。忘れずお教え下さい。低音部の響は何割活かされているかということを。よくて?
国府津の海ではそと海らしく黒鯛なんかが釣れます。けれどもあすこはいつも沖ね。ほんの夏の一時期のようです、釣をやるのは。とても自家用なんかつらないわ。これは瀬戸内海の漁村と、ああいう太平洋に面したところとのちがいでしょうね。面白く思いました。自家用を釣ったりしてくらすところには、そういう日常のこまやかなところもあるわけでしょうから。