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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

文学的な香気もつけたものでなくね、おのずから馥郁たるものでありたいと思います、詩情というものが、人間の深い理性の響から輝きかえって来るものであること、やさしさは見とおしの遙かさ壮大さから映って来るものであることを語った文章論は、まだ誰もかいて居りません。文章の美の要素の一つにはまぎれもなくそれが在りますけれど。

これから五日づけへの御返事。先ず小包到着して居ります。もってかえる手袋のことわかりました。雪もあれっきりではね、却ってふくれるようなものです。あの大名の夫人のこと覚えていらしたのね、びっくりしました。あれについていつか云っていらしたように悲劇の性格がちゃんとつかまれなければつまらないから、今にポツポツよんで見ましょう、しかしね、私は天邪鬼だから、この頃のようにいろんな人が何ぞというと歴史的題材へかくれんぼするのがはやりになると、不十分にしかかけなくても「紙の小旗」を書きたくなるのよ。批評の基準のこと。ここにはこまごまとその説明の展開そのものが既に暖かな説得力をもって語られていて、うれしいと思います。インドの例よくわかります。此とゆきちがいになった私の手紙の中で、私が、プラスの意義の場合、マイナスに悪用されている場合の現実について盲目でないことは分って下されたでしょう? 猿だと表現しないようにする