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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
寿江子はこの間うちすこし気を張って勉強して居りましたら、又糖が出だして夜安眠出来なくなって、又こっちへ来ました。こっちだと妙に眠れる由。日光によくふれるからかしら。とにかく二晩とも私より先にフースコよ。私は小説をかいているときは気がたつから、なかなか枕へ頭をつける、もう不覚とはゆかず。
十三日、全く! どの位私がっかりしたでしょう! 丁度油がのっていたのに、エイとやめて、いそいで出かけたら、あの位バタつかざるを得ないわけでしょう。あなたがもしや心配なさりはしまいかと、しまいにそれが気になって、かえってから気がおちつかずすっかり番狂わせになってしまいました。おめにかかると思って八日のお手紙、十日分返事あげてないのだし。
お恭ちゃんが、折角十三日だからと、腕力出して茶の間をかたづけて、書棚を運びタンスをどけ新しいカーテンをその本棚に吊って、お祝のサービスをしてくれました。
私は上で仕事。仕事。夜までやりつづけて、夕飯に寿江子、あの小さい娘さん二人、私、恭、それで、たべました。こういうのも珍しい顔ぶれです。私のぐるりの最少年たちが、それぞれチョコンとした顔を並べ、スカートをふくらましてたべていて、何だかやっぱり愉快でした。