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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
福島という現代画家の相当のコレクションをしていた人のところへ見せて貰いに行ったとき、ルオーがもう手離した絵だのに時々気が向くと来ては、もうすこしもうすこしと手を加えてゆくその粘りかたを感服していました。ああいう蒐集家がどこまで本当のことがわかるでしょう、きっと通なのね。通というものは要するにその道のガクヤ話や癖や迷信や伝統を知り、それに屈伏している評価者ですから。通は素人おどしにきくけれど。
こんなことをかいていると、そして、この間一寸『新しきシベリアを横切る』をよみかえしていたときも、ああして暮した時代もっともっと勉強したかったとしみじみ残念です。
生活、特に外国生活での対手というものは大きい意味があります、ほんとうにそこに在るものを知りたい、と思っての生活態度と、主我的な態度とでは得るものが実にちがいますもの。ほんとうにそこに在るものを知りたいという私の気持は、あの時分まだひよわくて、気に入るとか入らないとかいう気分で支配されている傍の性格とはっきり対立して、独自の線を描き出してゆくというところ迄育っていなかったのね。パリや何かからかえって、「広場」