轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

彼の唇はますます深くへしまげられていた。

阿賀妻は、そのうしろの方に小さくなつている甚助を見つけた。この丸い顔をした従僕は、とうとう下船しなかったのだ。彼のほんとの主人――阿賀妻の舅の家の都築泰亮は、むろんこの一団に参加してはいなかった。しかし甚助は阿賀妻の従僕でありたいと思った。それは、彼の供をしていたうちに彼の手足であることに生甲斐を感じたためだ。甚助は何も云わずに手をついて平伏した。

大沼喜三郎は一かかえの荷物を枕にして長くなっていた。親戚からでも送られた、妻女への土産ものであろう。その横には、目をくりくりさせた中島元八がいた。

下からぴりぴり響いて来る機関の顫動にも気を取られなくなった。ざぶんざぶんと船腹に砕ける浪の音にもおどろきを感じなくなった。一刻々々船に馴れているのだ。そして彼らはとろッとした。数日来の――いや、数年来のものかも知れない、重い疲労がのしかかって来て、神経がしびれるのであった。ようやく心身の休まるところに辿りついたわけであった。そう思って、今日までのことを憶いだしていると、ふッと四辺が暗くなって、――うたた寝をしているのだ。