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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
痛い脇腹からしぼり出された伸子の、身もちの看護婦! という何か場ちがいなものに出会ったような感情は、ボリスやあの看護婦の知らない、しかし伸子はその中に生きて自分もそれに苦しまされて来た旧い社会での感じかただった。金をはらって入院している患者が、その金に対して、病院や看護婦に或る程度要求することが慣習になっている社会でのエゴイズムがほとばしり出たと伸子は心づいた。伸子がいままで経験して来た病院というところは、そこで病人がたかい金をとられ、医療に対する漠然とした不信用になやみつつ、自分の病を癒すことに懸命なところだった。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で病院は、患者が組合だの医療保険だのに後だてされながら病気を治療される場所であると同時に、そこで働いている健康な若い女である看護婦が、首からかけた白い大前垂の下に円く大きいおなかを公然と運び、踵へ重心をおいた歩きつきで、ゆったり働いていていいところでもあるのだった。
この発見は、伸子に、自分の住んで来た社会がどんなに思いやりがないかを思いしらせるといっしょに、驚くばかりの新鮮さで「よそとはちがうソヴェトの生きかた」