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どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

ВОКСで話したとき、ノヴァミルスキーは、まったく第三者の感じだった。自分の妻、その妻の仕事、それを、あんなに、その表情さえも第三者として話した。ノヴァミルスキーは、マリア・グレゴーリエヴナがもって来た紅茶のコップにサジをさしたまま、そのサジを人さし指となか指との間でおさえてのむ飲みかたで美味そうにのみながら、

「革命博物館は見られましたか」

ときいた。

「ええ。見ました」

「あれは独特な意義をもっています。当分は、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)にしかあり得ない種類の博物館だと思いますね」

ちょっと言葉を改めて、ノヴァミルスキーは、

「私は七年間、牢獄におかれました。アナーキストだったんです」

と云った。

「十月にレーニンに会って、二時間話しあいました。そのとき、私は自分のそれまでの思想をかえたんです。――発展させたんです――発展――おわかりですね」

この話は伸子にとって、ノヴァミルスキーがここへ出現したことよりも意外でなかった。新世界という字をもじったノヴァミルスキーという名は本名なのだろうか、それとも、ウリヤーノフがレーニンと云った、そんな風なものなのだろうか。