轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「この間、宮井準之助さんがジェネ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の国際連盟で報告なさるとき」
と、木曜会員なら知らないわけにゆかない、知名な伝染病と予防医学の大家の名をあげた。
「モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へよって何かしらべていらっしゃいました。案外、何かあったんじゃないでしょうか。予防医学という学問そのものとして……」
聴いていた素子が、にやりとしてこころもち顎をつき出すような形でわきを向いた。その素子を見たとたん、伸子は、ほんとだった。なんてばかばかしい! と自分がひっかかっていた予防医学という専門語の鉤から身をふりほどいた。この医者は伸子がまごつくような質問をするためにだけ質問しているのだった。伸子の話をすらりときいていた人なら、ソヴェトでは予防医学というものの枠がひろげられていて、予防注射とかワクチン製造とかいうせまい範囲から、もっと広く深く勤労生活の日常そのものを健康にしてゆこうとする現実に移って来ている事実がいくつもの実例のうちに理解されたはずだった。伸子の話全体が、いわば新しい予防医学の現実だったのに。――そのことに思いついて、伸子はあらたまった顔つきになった。