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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

「お嬢様、それじゃあこれをお記念に頂きましょう。」

「え。」

「お嬢さん、私は何とも申し上げようはございません。」と片手をそれへ、頭をさげたが、声の調子も変っている。

「私あお嬢さん、あなたに取っちゃあ敵でございます。へい、とんでもない、謂わばその獅子身中の虫と謂うんで、こんな分らずやで何にも存じませんもんですから、愛吉々々とおっしゃって下さるのを、可い事にして、癇癪は引請けましたなんぞと、汝が勝手な熱を吹いちゃあ、ちょいちょいお出入をするもんですから、こんな役雑ものと口をお利きなさりますばッかりで、お嬢様、あなたに人が後指を指すんです。知らない内はから呑気で、一向澄したものでおりましたが、人から気をつけられて身体を持って行き処のないほど、驚いたんでございますよ。

まあどの位、こちら様に害をなすか、こん畜生、数が知れねえんで、へい。実に相済みません、何てっておわびのいたしようもないのでございます。

今晩も実は一言申上げて、お暇乞をしましょうと、その事で上りましたが、いつに変らず愛吉々々とおっしゃるので、つい言い出しかねておりました。

唐突にこんな事を藪から棒、気が違ったかとお思いなさいましょうが、お嬢さん。