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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
する気もない。するほど惚れていやしないのだ。
そういうタチの一馬が、自分がはからずもあやか夫人に惚れてふり廻されるハメに立ち至ったから、ふり廻されるという外部の形式が感覚的に残念無念で、私には彼のそういう心理はよく分るのである。だから充ち足らざる部分を胡蝶夫人を招待して、ひそかにその愛に甘え、むしろ胡蝶夫人の純愛を弄び虐待し、そんな気持があるので、本当はあやかさんに惚れているのだ、ウッカリすると取り返しのつかないことになる。私はそんな風に考えた。
然しいくら坊ちゃんとは云え、年齢四十、立派な文学者で詩人のやること、魔に魅入られても十字架は自分自身で負いきるべき御仁のことで、私がそれを気にやむまでのことはない。
私は然し、私一個の私事として、この招待には応じ得ぬ理由がある。なるほど、望月王仁という無法者が乗りこんでいる。そこへ丹後弓彦という取り澄したヒネクレ者と内海明という陽気なセムシが乗りこんで、からみ合い、睨み合い、すね合っていたんじゃ、外にお化けの一聯隊でも呼びたくなるのは尤もであるが、古い腐った蜘蛛の巣みたいなものがネットリからみ合った男と女を一堂に集めて、その陰鬱陰惨なつながり、からみ合い、思っても不快、悪趣味、厭じゃないか。